2023.10.05過剰除去の視覚化に挑戦したおはなし。“大きく”切り取る?“厚く” むき過ぎない?
はっけん度
この記事の目次
「過剰除去(カジョウジョキョ)」って??
皆さんは「過剰除去」という言葉を聞いたことがありますか?
過剰除去は家庭から出る食品ロスの原因の一つで、大きく切り取られた野菜のヘタや厚くむき過ぎた果物や野菜の皮など、本来食べられるところまで過剰に捨ててしまうことを指します。令和2年の環境省の調査によると、年間約34万トンも発生しています。
過剰除去を言葉で表現することの難しさ
よく考えてみると、野菜の切り方については「いちょう切り」や「さいの目切り」など色々と名称があるのに対し、むき方については明確な基準がありません。また、大人になってから自分以外の人が野菜や果物を切る機会を見ることは少なく、比べたり考える機会もあまり多くありません。
色々な情報を集めてみても、“大きく”切り取らない、“厚く” むき過ぎない、など言葉で説明されているものがほとんどです。
大きく・厚くと言っても感じ方は人それぞれ。
まずは普段当たり前と思っていた切り方が本当にみんなにとっての当たり前なのか、社内のメンバーに聞いてみることにしました!
鍵は「1刀目」!まずはどこから切っているかに注目
この頃旬を迎えていた茄子。
まずはプロジェクトメンバーの三橋に聞いてみました。
あかし
茄子って最初どこから切る?
(過剰除去とか言わずに最初どこから切るかを聞いてみました)
え、急ですね。
ここからです(スッ)
みつはし
あかし
えー!そこヘタじゃないの??
私はここからいっちゃう!(ズバッッ)
明石さん、意外と大胆ですね…。
みつはし
となんともベタな展開。
確かに私の切り方では食べられるところも捨てており、より過剰除去をしていたのは私の方という結果に…。
あかし
試しに会社内で聞いてみよう!
緊急調査!茄子を切る時どこから切ってる?
あかし
みんな〜!
茄子ってどこから切る?(唐突)
調査はiPad片手に一人ひとりに突撃アンケート形式で行いました。
いきなりの調査に戸惑いながらも、プロジェクトメンバーを含む21名のスタッフが回答。
そして調査結果はこちら。
調査方法
期間:2023年5月
対象:株式会社エンビジョンのスタッフ 21人(男:11人/女:10人)
方法:社内調査
並べてみると圧巻...!茄子ばかりで茄子酔いしそうですが頑張って分析していきます。
みなさん思い思いのポイントに包丁を入れているようにも見えますが、パターン分けしていくと切り方は4パターンに分けられることがわかりました。
まず前提として、茄子のヘタのヒラヒラした部分をここからは「ガク」と呼びます。そして茄子の実の付け根部分、こちらを「ヘタ」と呼ぶことにします。
なんだか理科の授業を思い出しますね。
そしてパターン分けされた結果がこちらです。
このパターンをもとに、円グラフを作成しました。
「A:ガクごと切り落とす」と「B:ガクとヘタの境目」と回答した人を足すと、約70%の人がヘタの部分を丸々切り落としているという事実がわかりました。
さて、ここで質問です!
茄子のヘタで包まれている部分の中身って、なんでしょう?
もちろん、ヘタは茄子の実の根元を包み込んでいるだけなのでヘタの中身も茄子の実です。
他の実の部分と比べると多少固かったりしますが、ここもきちんと食べられる部分です。表面的にはヘタに見えているこの部分を切り落とすことで、無意識に実の部分も捨てていることになり「過剰除去!」と集計されてしまうのです。
つまり今回の調査でパターン分けされた4つの切り方のうち、過剰除去をなるべくせずに切ることができていたのは「C:ヘタの真ん中」と「D:ヘタのギリギリ」の2パターンということになります。なんと、約70%の人が茄子の過剰除去をしていたという結果に!!
この結果を社内で発表するとこんな驚きの声が。
ずっとこの切り方で生きてきたので、自分の一刀目を疑ったことがありませんでした。
スタッフM
帰ったらさっそく「過剰除去のない茄子の切り方」を家族に披露しようと思います。
スタッフT
次に茄子を切る時は、過剰除去しない方法で切ることができそうですね。
この「1刀目」をどう伝える??
過剰除去しない切り方を覚えたわけですが、この1刀目、どう伝えればいいのでしょうか?
- ヘタのすぐ下!
- 思ってるより上!
あかし
感覚は人によって違うし、
わーーん!これじゃ伝わらないよーー!
考えれば考えるほど、言葉では伝わらない、文字で伝えるには限界がある…
でもこの過剰除去。一度正しい1刀目を知りさえすれば次からは自信満々に切ることができます。ということはみんなが正しい過剰除去のない切り方を知ることができれば、きっとロスをロスできるはず!
でも知ってもらうにはインパクトが必要…本気で知ってもらいたい…どうすれば伝わるのか…。
そして生まれた表現
本気で伝えたいと考えた結果、このような作品が出来上がりました。
ぜひ音声ありでご視聴ください!
最初にヘタをどこから切るべきか、さらにヘタが残った場合の対応まで、言語化しづらい部分を視覚的にわかりやすく動画で表現しました。
制作を担当した加藤に、制作後の感想を聞いてみました。
今回の調査で僕自身も過度に過剰除去していたことが発覚し、とても驚きました。
この衝撃を、これから動画を見る人にも伝えたくて、インパクト重視の記憶に残りやすい動画に仕上げました。
加藤
今後も私たちが一番得意とするクリエイティブの力で、野菜や果物などの過剰除去にならない切り方が伝わるような企画をお届けし、過剰除去をなくしていきたいと思います!
執筆:明石麻穂(ロスをロスするProject)
撮影:羽田幸平(株式会社エンビジョン)
動画制作:加藤元太朗(株式会社エンビジョン)
イラスト:三橋元子(ロスをロスするProject)